2011/02/25

妊娠後期 #2 『The Business of being born』

これまでの回想録は、「妊娠から出産までの話」をどうぞ。

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The Business of being born

友達に見せてもらったドキュメンタリーは、有名なトークショーの司会者で女優のリッキー・レイクという人がプロデュースしたアメリカの出産事情に関するものでした。リッキー・レイクは、病院での最初の出産が納得いかず、2人目の子供を妊娠したのをきっかけにこのドキュメンタリーを制作することにしました。アメリカでは出産が出産が巨大なビジネスとなっているそうです。

アメリカでは、ほとんどの女性が、病院で産むのが当然だと考えているらしく、出産がものすごく医療的で人工的なものとなっています。 医療が技術的に進歩するのはよいことだけど、医療の観点からみたビジネスライクな出産は、はたして本当に女性にとって、そして産まれてくる赤ちゃんにとってベストなのか? そういった問題点をこのドキュメンタリーは問いかけています。

陣痛促進剤。本来は、微弱陣痛などの場合、陣痛がこないとお産も始まらないので、陣痛を促進することで正常なお産をできるようにサポートするものです。が、医療現場の裏側をみると、医者が勤務時間内に帰宅したい、次の患者が待っていて出産部屋を空けなければならない、などといった病院側の都合によるものも多大にあるそうです。 自然出産の場合は、何時間かかろうと、出産する女性に全てゆだねられています。そして、女性の体は、それに対応できるように本来作られているのです。

そして、痛み止めや麻酔。陣痛促進剤を注入された場合は、陣痛の痛みが強くなるので、必然と痛み止めが必要になってきます。もちろん、母親の血液に注入されれば、胎盤を通して赤ちゃんにも伝わります。陣痛促進剤を使わなかったら、必要なかったかもしれない薬や麻酔。それも出産する女性が決めるのではなく、医者がどうするのか決めてしまう。もちろん赤ちゃんに影響の少ないものでしょうが、風邪をひいても薬ものまずにがんばってきた妊婦としては、ちょっと悲しい気がします。

痛みを和らげる方法の1つは、リラックスすること。自宅出産では、自分の好きな部屋で好きな音楽を聴いたり、好きに体を動かしたりして、よりリラックスすることができます。 そして、陣痛が起きる際には、女性の体では大量のエンドルフィン(体内で自然に作り出されるモルヒネに近い感じの鎮痛剤の役割をするタンパク質)が大量に分泌されます。陣痛や出産のどの時点で、分泌されるのかは女性によって異なるようですが、体が必要となったときに、ちゃんと分泌されて、痛みに耐えられるようになっているみたいです。

おなじみの足を広げて仰向けに横たわる出産の際の姿勢。これは出産する女性にとってベストな姿勢というより、病院でお医者さんの観点から見たときに一番理論的で都合がよい姿勢なのだそうです。女性の立場からみてこの姿勢のメリットもありますが、重力に反している、痛みが強くなるなどのデメリットもあります。 何も考えることなく、この姿勢が出産の姿勢だと思っていたのですが、産みやすい姿勢は妊婦によってそれぞれ違うということは知りませんでした。

2005年の時点でアメリカでは、3人に1人が帝王切開(Cセクション)で出産するそうです。特殊なケースは理解できますが、ちょっとでも正常じゃないと医者が判断したら帝王切開。 また、本人やパートナーの仕事の都合などで、産む日にちを決めて、帝王切開でその日に産む、というのが女優などの有名人ではやったことから、「デザイナーズ・バース」といって、帝王切開が一般にもトレンドとなっている傾向にあるといいます。


アメリカでは、1940年代に最新の医療としてレントゲンでおなかの写真を撮っていましたが、幼児ガンの増加がレントゲンによるものとわかるまで十数年もの間、病院では当たり前に行われていました。60年代にはよいと信じられていた薬が80年代になって手足のない赤ちゃんの出生率に影響していることがわかったり、病院で施される医療が絶対に安心とはいえないこともあります。

病院で産むことのメリットは、何かあった場合にすぐに対応できることだと思いますが、このような病院での医療的な出産のデメリットは、あまり多く語られていません。 (現在のアメリカの多くの)病院では、無事産まれたという「結果」しか見ません。 30時間かかる自然出産より、30分で修了する帝王切開の方が、理にかなっていると見られます。出産する女性の観点から、判断されることは残念ながらないようです。

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私は妊娠がわかったときから、漠然と「自宅で自然に産みたい」と思っていました。このドキュメンタリーをみて、ますます自宅出産したいと思うようになりました。病院が悪いと思っているわけではありません。実際に日本では病院で4D写真やビデオ撮ってもらったり胎児の状態を診断してもらって安心できたりと、最新の医療の恩恵を受けました。 出産に関しても、病院の方が安心っていう考え方も理解できます。アメリカの病院で出産された人にも、このドキュメンタリーで指摘されているような悪いケースばかりじゃなく、満足のいくいい出産を経験された方もたくさんいると思います。

それでも、私は自宅で自然出産したい。病院でお医者さんにあれこれ指図されながら、「遅いですねー」とか「普通だと…」なんて他の人と比較されることなく、病院が施す内容を「受け取る」受動的な出産でもなく、自分の意志で、自分の力で、自分のペースで、産みたい。 私は、ベイビィちゃんの生命力と自分の力を信じて、産みの苦しみも、そして産まれた時の喜びも全てパートナーと共有しながら、経験したい。そして、自分の体を通じて、人間の(生物の)神秘をみてみたい、と思いました。 その方が、ワタシらしい。

妊娠後期、これまでは「妊娠」というところにしか考えが回りませんでしたが、少しずつ「出産」のことを考えるようになりました。そして、出産は女性が起こすひとつの奇跡なんじゃないかと思うようになりました。出産、ちょっと楽しみです。

次回は、イギリスでの初検診のことを書きます。つづきは、こちらから。



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