2010/09/01

妊娠<回想録>

妊娠がわかったのは、スペインのアンダルシア地方の山沿いにある小さな村に住み始めてすぐのこと。




妊娠したとわかったとき、最初の感情は驚きと照れと嬉しさでした。
うわぉ! ワタシ、妊娠しちゃったの! ママになっちゃうんだって!!!! 
なんだか、うふふ。。。。 へぇ、ワタシがママかぁ〜〜〜〜〜。

そして、その感動と興奮の後にくるのは、やっぱり現実的なこと。
妊娠がわかってから、よく1人で散歩しながらいろいろ考えた。




計画していなかったどころか、結婚もしていないのに、会って
数ヶ月しか経っていない人との間に子供ができちゃったこと。
彼は結婚しようと言ってるけど、仕事もしてないし、貯金もないってこと。
私も旅の途中だったので、荷物はバックパック1つで、何の準備もないこと。

産まれてきたらそのコをちゃんと育てていかなきゃいけないこと。
生まれてくるコはハーフだということ。
彼との今後の生活のこと。ビザのこと。お金のこと。
浮かんでくるのは、心配なことばかり。




そして、自分に問いかける答えのでないたくさんの質問。
なんで今ワタシ妊娠しているんだろう?
どうして旅の途中なんだろう?
なぜ彼とのコなんだろう?
彼と一生一緒にいるの? いたいの? いれるの?
子供、育てられるのかな?
これからの人生、どうなるんだろう?

妊娠してるかも、と思っていたときから、「生まない選択」は
全く考えていなかった。生むと決めていたからこそ、
「これでいいんだ」って自分で思えるナニかが欲しかったのだと思う。。




ある日、お散歩していたとき、突然周りの景色が心に響いてきた。
青い空。おいしい空気。溢れる緑。さわやかな風。白い雲。さんさんと
ふりそそぐ太陽の光。道端の小石。花畑の色。オレンジ。サボテン




そして、ワタシは東京のごみごみした街の、ぎゅうぎゅうに詰め込まれた
電車の中や、ビル群に囲まれたコンクリートジャングルにいるんじゃないって、
思い出した。

東京の生活は、それはそれでおもしろいものだったけど、
旅前に住んでいた西新宿で妊娠していたら、旅していなくても
やっぱりいろいろ考えただろう。東京で子育て...すごく悩んだと思う。

つまり、悩む時はどこで何をしていても悩む。
不満や不平をみつけるのは簡単だけど、どんなに悩んでも事実は変えれない。

だったら変えれないことを悩むより、自分の気持ちを変えちゃおう、と。
こんな気持ちのよいところで、妊婦生活なんて、よく考えたらものすごく
幸せなことじゃない?

このタイミング、この場所、この人とだからこそ、
この命、授かったんじゃない?


もうここにこうして、私のおなかの中にいるのであれば、
私がママなのね、あなたはワタシのところへきたのね。
誰と何をしていても、どこに住んでも、このコはこれから
ずっとワタシのコ。これは、もう変わりようのないしあわせな事実。

妊娠したってことは、私に子供を育てる準備ができてること。
子供を育てながら、もっと人生学びなさいってこと。

「なぜ旅の途中で、妊娠したのか?」よりも「自称タビビト、旅の途中で
授かるなんて、旅は人生だね〜。」と受け止める方が断然ハッピィ。


私はもうこのコから学びはじめている。
事実は変えれないけど、その事実をみる見方は変えることができる。
ないものばかりを望むのではなく、あるものに感謝しよう。
育まれた命を愛おしもう。



あぁ、そうか。私はこのコに出逢うために、
ここまで旅してきたのか。


つづき:妊娠初期 #1 : おうちとミッドワイフ