2010/09/23

皆既日食

日食 2006年3月29日 トルコにて (回想録)

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2005年10月 ー 2006年5月
日本からユーラシア大陸を横断して、オランダまで。
ネパールでトレッキングして、インドで3ヶ月半滞在。
その後、エジプトからヨルダン、イスラエル、シリア、
レバノン、トルコと北上して、3月29日にトルコで日食をみた。

こんな長期のバックパックは始めてだったし、イスラエルで
一緒に旅していた彼と別れてしまい、中東に1人。日本へ帰って
しまおうかとも思ったけど、なんとか辿り着いた日食を見れる地。

日食がどんなものかもあまり知らずに見たのだけど、ある意味
私の人生観を変えるような出来事でした。


その時のニッキです。

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生きている間に、こんなすごいものを見れるとは
思ってもいなかった。今まで生きてきて、こんなに
美しく愛にあふれているものを見たことない。

本当に言葉にすることができないくらい想像を
絶する宇宙の神秘を見ることができた。

こんな素敵なものを見ると、本当に何でも信じる
ことができると思う。自然のすばらしさと、生きて
これを見ることができた感動と、偶然が生み出す
神秘的な現象に感極まって自分の体内から
すごいエネルギーが沸き出でてくるのがわかる。



皆既日食は月が太陽にかぶさった時から始まる。

最初はほんのちょっとだけで、太陽を直視できる
めがねをかけてみると、かけているのがわかると
いう程度だけど、30分もするとどんどん気温が
さがってきて、お昼なのに、まだ明るいのに、
不思議な感じで風がでてきて、肌寒くなる。

動物や植物は人間よりも敏感らしく、この辺りで
鳥が鳴き、風の音がなり、回りをとりまく全ての
自然がなんだかそわそわしてくる。

月がきれいに太陽にかぶさると、載せている写真の
ようなリング状になり、写真では絶対に撮れないと
思うけど、太陽からなんともいえない不思議な色の
エネルギーが放出されているのが肉眼で見ることが
できる。七色の虹が1色になったような色の線が
放射線を描き、幾重にも重なり、放出されている。

その瞬間に人は、すごいエネルギーが体内から
溢れてくるのを感じ、驚き、喜び、泣き、踊り、叫んでいた。

日食の時の地平線は360度、夕焼けのような空。


あまりにもすごくてしばらく目を離せなかったのだけど、
ようやく落ち着いて周りを見渡すと、昼なのに真っ暗な
夜の空が太陽の周りを丸く覆っていて、普段は絶対に
見ることのできない水星が空に光り輝いている。

そしてその周りは夕焼けの空が丸い360度の空に
円を描くように広がり、それはもうなんといってよいか
わからないような不思議な空で、こんなものがある
こと自体信じられないような空。

3分半。

長いような短いような3分半が終わると、太陽が月の
影から光を放ち、ダイヤモンドリングのようなきらめきを
見せた後、地上は一気に明るくなった。

日食眼鏡で太陽を見ると、ほんとうにちょっとだけしか
太陽はないのに、地上はものすごく明るい。太陽って
こんなに明るかったんだ。そして、太陽ってこんなに
暖かったんだって思えるくらい、暖かさを感じた。

太陽が1時間ちょっとの間にしずつ欠けていくだけで、
気温は5度もかわり、どんなに太陽の恵みが私たちの
生活を暖めてくれているのか、どんなに太陽が明るい
のかを体で感じる。そして、そのことでものすごい
太陽に感謝し、太陽への愛を感じた。

月の大きさと太陽と月の距離が比例しているために
このような現象が起きるのだと後で聞いたけれど、
こんな素敵な偶然を起こす宇宙に感謝し、愛を感じた。

こんなものを見れたことに感謝し、生きていることへ
感謝した。

旅をしていると、こんなすごいものを見れるんだって
感動して、旅人であることを感謝した。

こんな素敵な瞬間を共有できる友達にめぐりあったこと、
そしてこれを見せてくれた人へ感謝し、愛を感じた。

全てのことに愛を感じ、感謝した。

そして私が話した全ての人が同じ感情になっている
ことも知った。

皆既日食は写真や映像で見る物質的なものも
すごいけど、そこで感じる物質的なもの以上の
スピリチャルなものを肌で心で感じることが、
一番すごいことだったと思う。


これを見ると、不可能なものはないと思えると思う。
なんだって信じてみようと思うと思う。そしてそれは
絶対に叶うと信じることができるようになる。


旅をしているとこんなすごいものに出会った。
旅しててよかった。

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この時の経験が忘れられなくて、また日食が観たくて、
2008年夏、アルタイへ日食を観る旅へ出たのでした。

次の『ユーラシア大陸の旅』は、アルタイでの日食のときのハナシです。
こちらをどうぞ。

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つづき:ユーラシア大陸の旅 #14 皆既日食 <前半>