アメリカはイラクだけでなく、シリアも空爆するかもしれない、という。というか、私は、そもそもアメリカがイラクを攻撃すること自体間違っていると思う。テロに軍隊で対抗したら、悪化するに決まってる。
なんかアメリカがイラクを攻撃していることが当たり前すぎていて、本来の理由を思い出せないから、まとめてみた。現在から時間を逆戻って、状況を整理してみよう。
アメリカが今回(2014年8月にイラク北部を)空爆したのは、先月「イスラム国」という過激派組織が勢力を広め、キリスト教系住民を虐殺したり、アメリカ大使館がある都市を侵攻しようとしていたから。結果、このイスラム国はアメリカ人ジャーナリストを公開処刑して、それでアメリカはシリアも空爆すると言ってる。(2014年9月11日現在)
この「イスラム国」はどっからでてきたのかというと、2003年のイラク後にイラク国内でさまざまなテロ活動を行い、アルカイダやその他のグループと合流や解散や統合などしてできた集団。ちなみに、アルカイダはアメリカのCIAとパキスタン軍が、(1978年の)ソ連のアフガニスタン侵攻の際に対抗させるために武装させた組織。
2003年のイラク戦争は、2011年にアメリが軍がイラクから撤退するまでの戦争。イラク戦争が始まったときは、そういえば、えええええっ、なぜイラクを攻撃するの?いいの、それで?と腑に落ちない思いをした、と思い出した。発端は、2001年9月11日の同時多発テロになるのかな? テロの後、アメリカはオサマ・ビン・ラディンが首謀として、彼をかくまっているとされたタリバンを標的にアフガンを攻撃して、タリバンはやっつけたけど、アルカイダがどっかにいってしまい、その矛先がイラク。イラクにはテロの温床組織がたくさんあるからとか、大量破壊兵器を隠しているとか、理由をこじつけてブッシュが攻撃はじめ、大量破壊兵器が見つからず、フランス、ドイツ、ロシアはアメリカがイラクを攻撃することに反対していたけど、2003年3月に米英軍が「Operation Iraqi Freedom イラク自由作戦(なんじゃ、そりゃ)」と題して空爆したのが、イラク戦争の始まり。結局その後大量破壊兵器は見つからなかったし、ブッシュの関係者が石油かインフラ化かの権利を受け取る契約を戦争前からしてたとリークがあったけど、うやむやになったまま。
イラク戦争でなくなったアメリカ軍人の数。5000人以下。(アメリカの統計サイト)
イラク戦争でなくなったイラク市民の人数。推定:50万人ほど。(出典:The World Post Setpember11, 2014 直接的な死者の数は11万人ほどだど言われていたが、戦争が原因でなくなった人をカウントすると50万人くらいになるという報告)
イラク戦争は、湾岸戦争の続きとも見られる。1990年にイラクがクウェートに侵攻したことに反発して、多国籍軍という名で1991年1月にイラクを空爆したことから始まった。この時のアメリカの大統領は、イラク戦争をはじめたブッシュ大統領のパパ。(湾岸戦争時の目標だった「打倒フセイン政権」を、息子がイラク政権で倒した。パパはおまえのことを誇りに思う、と言ったかどうか)
すぐにイラクは敗戦を認め停戦となったけど、以降10年国内紛争と、(スンニ派のフセイン大統領と対立する)クルド人やシーア派の人を保護するという名目で、アメリカはたびたび攻撃していたし、厳しい経済制裁を受けた。
湾岸戦争でなくなった多国籍軍の数:1000人以下。
湾岸戦争でなくなったイラク人市民:10万人ほど。(出典;Wikipedia 湾岸戦争)
湾岸戦争を勃発させたイラクが、そもそもなぜクウェートを侵略したかというと、イラン・イラク戦争で負け、困窮していたから。
イラン・イラク戦争は、1980年にはじまったイラクとイランの戦争だけど、湾岸戦争ではイラクを攻撃したアメリカは、この時は親米派だったイランのバーレビ王朝を、革命派のホメイニ師が倒したことから、このホメイニ師を倒そうとするイラクを支援。と同時に、1979年に起こったイランの「イスラム革命」が広がることを阻止しようとした狙いもある。このときに中東全体にアメリカが口と手をだしすぎたことが、その後の反米感情の元になると思われる。
それまでは、アメリカがアルカイダを作った理由となるソ連のアフガン侵攻(1979年)このあたりまでは、第二次世界大戦後の西側(アメリカ)と東側(ソ連)の冷戦だったのが、アフガン侵攻あたりから、共産圏への攻撃ではなくイスラム圏への干渉や攻撃が顕著となっていく。アメリカは「人道支援」とか「世界の警察」とか「市民の平和のために」とかいう名目で、やっているのは全く反対のこと。
他の国に干渉すると、アフガン侵攻のときに支援したアルカイダにテロを起こされたり、イランイラク戦争のときに支援したフセイン政権をイラク戦争で倒したり、フセイン政権を倒したせいで混沌となったイラクで勢力をのばしたイスラム国にアメリカ人ジャーナリストを殺されて、何にもよくなってない。倒しても倒しても、あらたな「アメリカの敵」はでてくる。それは、アメリカが攻撃をやめないから。
もちろん、アメリカからの見方だと彼らが「テロ」をやめないから、だとは思うけど、殺された人数はどちらが多い? 戦場となった地は、どこ? なぜ、彼らはテロをやめない? アメリカはもう少し学んで考え直すべきだと思う。自分たちの「正義」が、すべてにおいての正義ではない。攻撃だけが、世界を平和にするわけではない。
自分たちの国の市民をテロから守りたかったら、テロをやめさせる方法を攻撃以外の方法で行うべきだと、9月11日私は思う。